原発事故の放射能汚染度を示す「サーベイマップ」なるものが公表されている。何も書かれていない福島県の白地図の上に、海沿いの福島第一原発から北西に向けて、流れるように赤色やオレンジ色の濃淡で放射線量の測定レベルが表現されている。まるで、清潔な真っ白い大地にそう簡単には落とせない汚いペンキをぶちまけたように見えた。
せつなくなった。美しい自然、豊かな山河こそが魅力であった福島を汚したのは誰か。猛暑に耐えかねたように原発の再稼働の話も出てきているが、自分たちさえ快適ならば、他人の土地などどんなに汚れようが構わないのか。ノドの渇きを潤すために飲み干した空き缶を、そのまま他人の庭に投げ捨てているモラルと、程度の大小を除けば何ら変わることがない。
“ヒロシマ”“ナガサキ”で、世界唯一の被爆国となった我が国が60有余年を経て、今度は自らが設けた核施設によって被曝するとは――。
悲劇にしても、皮肉に過ぎる。
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