2012年8月27日月曜日

助成金は競争率の低いものからチャレンジ!

ある会社が助成金を一度受けたところ、審査担当者から「こっちの助成金にも応募してくれませんか」と誘われた。驚きながら詳細を聞くと、募集枠に対して応募が少なく、しかし予算を使い切る必要性から、不良会社に助成することになりそうとのこと。そこで、その会社に白羽の矢を立てたという。

納税通信3237号の1面で取り上げた助成金は、ハードルが高いと感じて敬遠してしまう会社が少なくない一方で、使っている会社はとことん使おうと考えている。助成金の審査担当者によると、一度何らかの助成金を受けている会社は審査に通りやすいそうだ。

「過去に助成されているということは、一度は認められたということ。そこに信頼感を覚える。それと、過去の経験があるので、説明の手間も省ける」。

会社が人材を採用する時にも、同じような仕事をしている履歴を見て期待したり、教育の手間が省けることに安心したりする。それと同じことのようだ。冒頭の会社のような“棚ぼた”を期待するのもどうかと思うが、1面にあるように、交付額の小さい、競争倍率の低い助成金から挑戦してみる価値は十分あるだろう。

2012年8月20日月曜日

“自殺増税”

納税通信の第3236号の1面で書いた“増税自殺”は造語です。

多少強引な言葉ですが、自殺数の推移と増税のタイミングがあまりにもピッタリと合っていること、そして取材先で増税による経営者の苦悩がどれほど大きかったかを聞き、使用いたしました。

今回の消費税増税は、国の借金を後世に残さないためという大義名分が立てられました。また福祉目的と言っていたこともありました。どんなにきれい事を並べても、次の増税以降の社会をしっかり見つめていかなければなりません。

エヌピー通信社では、(1)不合理な税制はないか、(2)われわれの納めた税金がどう使われているか――を「納税通信運動」として1948年の発刊以来、一貫して唱えてきています。

本来、人を育て、そして守るための税が、その導入により人を殺す結果になることなど、決してあってはならない話です。

2012年8月6日月曜日

長きにわたる税理士資格の論争、ついに決着の兆し

経営者には見えづらい部分だが、一口に「税理士」といっても、登録の経緯によって複数のタイプに分けられる。

税理士試験の合格者はもちろん税理士だし、税務官公署で一定の経験を積んだ“OB税理士”と呼ばれる人も結構多い。税理士制度の前身である「税務代理士」がそのまま税理士になったケースもある。そして、公認会計士や弁護士も、それぞれの資格を持っていれば税理士として登録することが認められている。

実はこの最後のルートが、税理士業界にとって長年の懸念となっているのだ。税理士としての能力が担保されていないのに、税理士になれるなんておかしい――。これが税理士サイドの主張。税理士業界では、税理士試験の一部を突破しなければ会計士や弁護士を税理士として認めないというルールを作ろうとしている。

特に、弁護士よりも会計士にターゲットを絞った改正だといわれる。もちろん会計士サイドは反論している。最近では、7月25日に日本公認会計士協会の山崎彰三会長が「会長所感」として、「租税法を含む公認会計士試験に合格した者が資格を取得するまでの間には(中略)税務に関する教育研修を履修し、試験されている」「公認会計士は資格取得後においても(中略)税務に係る知識の習得に日々努めてきている」などと、税理士業務を行う資質を会計士が持っていることを強調した。

この隣接士業者のせめぎ合いは長い歴史を持つ。税理士法3条では、税理士になれる人として、(1)試験合格者、(2)試験免除が全科目に及ぶ人、(3)弁護士、(4)会計士―が順番に並んでいる。これが昭和55年の改正までは、(3)(4)(1)(2)の順番だったそうだ。これも戦いの記録のひとつといえる。

来年中にも施行が決まる改正税理士法にこの制度の見直しが含まれるのか。長きにわたって続くこの論争、近いうちにひとつの決着が予定されている。