2013年1月28日月曜日

外食産業が苦境の中、「中食」産業が市場拡大


納税通信第3257号(2月4日発行)の1面で交際費を取り巻く環境についてまとめたが、交際費支出額の縮小傾向は、国内外食産業の市場規模の動向と当然のようにリンクする。食の安全・安心財団の「外食産業総合調査研究センター」によると、平成23年の国内外食産業(料理品小売業を除く)の市場規模は23兆475億円。前年から3930億円(1.7%)縮小し、4年連続で前年割れとなった。得意先や仕入先などを接待する機会が減ったことがここからも垣間見える。

外食産業が縮小する一方で、「中食」産業は市場を拡大している。中食とは、家庭外で調理された食事を持ち帰って食べること。テイクアウトやデリバリーを指す。前述の外食産業総合調査研究センターは、売上高のうち食事の“持ち帰り”の売上比率が半分を超える事業所を「料理品小売業」としてまとめたが、これは中食の一種と捉えて問題ないだろう。この業種の市場規模は5兆7790億円で、前年から1.6%プラスだった。背景には、外食三昧する金銭的な余裕がなくなってしまっても、家庭で調理する(あまり耳慣れないがこれを「内食」というそうだ)機会が減っている実態がある。

突然話が変わるようで恐縮だが、「メール設定」や「プリンター設定」などのパソコンの基本設定業務に高額な費用をとる業者に対し、若者は「パソコン初心者をカモにしている」と指差す。しかし、彼らは自転車の簡単なパンク修理ができずに業者に修理を依頼する。年配者のなかには「自分でやったほうが安いのに・・・・・・」と感じる人は少なくないはずだ。とはいえ、自分が苦手な部分を誰かに任せてしまうことは、効率の面からいっても決して間違いとはいえない。

ひるがえって中食の話。自身を振り返ると、時間の節約と、そもそも料理が得意ではないことを理由にして内食(自炊)をほとんどしていない。中食中心の生活になっている。効率の面からいえば間違っていないかもしれないが、それでも何度も内食生活を考えるのは、お金を少しでも貯めたいという気持ちがあるためだ。金銭的不安がなくなる経済環境の到来を待つか、料理を覚えるか―の選択肢の狭間で揺れている。もし「自分でやったほうが安いし、美味しい」となる見込みがあるのなら、問答無用で内食中心の生活を目指すだろうが、そこまでの腕はたぶんない。

2013年1月18日金曜日

阪神大震災から18年 復興予算の行方を見つめる

6434人の犠牲者を出した阪神大震災は発生から18年を迎えた。被災した各地で追悼行事が行われ、犠牲者の冥福を祈った。東日本大震災で犠牲になった家族も追悼行事に参加しているという。阪神と東北はつながっているのである。

民主党政権時には復興予算が被災地の復興と関係ない事業に使われるなど、不適切な使用の実態が浮き彫りになっている。安倍政権は1月10日の復興推進会議で、東日本大震災の復興予算に関して、民主党政権が定めた2011年から5年間で19兆円とした予算を倍額にする方針を表明した。加えて景気浮揚とデフレ脱却のため、20兆円規模の緊急経済対策を確定した。

安倍首相は「かつての自民党とは異なる」ことを強調しているが、過去の自民党のばらまきが復活した趣も否定できない。復興予算は今後10年から25年に及ぶ住民税や所得税の増税で賄われることになる。増額された復興予算が被災地の生活再建に使われる保証は何もない。「多額の予算が無意味な開発事業に投じられた悪しき前例が繰り返されている」という被災地神戸からの声に耳を傾けたい。