納税通信第3257号(2月4日発行)の1面で交際費を取り巻く環境についてまとめたが、交際費支出額の縮小傾向は、国内外食産業の市場規模の動向と当然のようにリンクする。食の安全・安心財団の「外食産業総合調査研究センター」によると、平成23年の国内外食産業(料理品小売業を除く)の市場規模は23兆475億円。前年から3930億円(1.7%)縮小し、4年連続で前年割れとなった。得意先や仕入先などを接待する機会が減ったことがここからも垣間見える。
外食産業が縮小する一方で、「中食」産業は市場を拡大している。中食とは、家庭外で調理された食事を持ち帰って食べること。テイクアウトやデリバリーを指す。前述の外食産業総合調査研究センターは、売上高のうち食事の“持ち帰り”の売上比率が半分を超える事業所を「料理品小売業」としてまとめたが、これは中食の一種と捉えて問題ないだろう。この業種の市場規模は5兆7790億円で、前年から1.6%プラスだった。背景には、外食三昧する金銭的な余裕がなくなってしまっても、家庭で調理する(あまり耳慣れないがこれを「内食」というそうだ)機会が減っている実態がある。
突然話が変わるようで恐縮だが、「メール設定」や「プリンター設定」などのパソコンの基本設定業務に高額な費用をとる業者に対し、若者は「パソコン初心者をカモにしている」と指差す。しかし、彼らは自転車の簡単なパンク修理ができずに業者に修理を依頼する。年配者のなかには「自分でやったほうが安いのに・・・・・・」と感じる人は少なくないはずだ。とはいえ、自分が苦手な部分を誰かに任せてしまうことは、効率の面からいっても決して間違いとはいえない。
ひるがえって中食の話。自身を振り返ると、時間の節約と、そもそも料理が得意ではないことを理由にして内食(自炊)をほとんどしていない。中食中心の生活になっている。効率の面からいえば間違っていないかもしれないが、それでも何度も内食生活を考えるのは、お金を少しでも貯めたいという気持ちがあるためだ。金銭的不安がなくなる経済環境の到来を待つか、料理を覚えるか―の選択肢の狭間で揺れている。もし「自分でやったほうが安いし、美味しい」となる見込みがあるのなら、問答無用で内食中心の生活を目指すだろうが、そこまでの腕はたぶんない。