2012年10月22日月曜日

公共空間におけるマナー

最近、信号を守る歩行者が増えているような気がする。見通しの良い交差点で、車はおろか自転車1台来ないというのに、いい大人が何人もじっと待っている。信号なんぞは歩行者を守るためにあるもので、「赤だから渡らない」などはナンセンスというものだ。

一度ルールとなったものには思考停止して守ろうとする保守思想を人間は生まれつき持っているのだろうか。それを破ることで遭う村八分への恐怖か。

明文化されていないものの、不思議なルールはエスカレーターにもある。いつのころか、関東は右を、関西圏は左を空けて立つようになった。急いで歩く人に道を作るためだ。地下深くまで掘られた新設の地下鉄駅などでは、ふうふう言いながら右側を上る人と、立つために左に並ぶ人と、なかなか不思議な光景だ。みんなが進んで守っているルールのくせに、そのルールによって誰一人幸せそうに見えない。こうした無意味なルールを破るためになんらかの行動を起こしたいが、ここでの天の邪鬼はなかなか勇気が要る。

ルールは頑なに守るくせに、公共空間におけるマナーは悪くなっていると感じる。とくに最近の年長者のマナーの悪さは目に余る。先日も、池袋駅で駅員さんに路線を伺っていると、とうに還暦を過ぎた二人組が横から割り込んできて、私には目もくれずに駅員さんに質問をぶつける。だが駅員も慣れたもので、闖入者には目もくれずに私への応答を続けていると、「ちょっと聞いてるの?」「だからJRはダメなのよ」と言い放ち、閉じた自動改札の隙間を無理矢理くぐり抜けていった。不当に罵られる駅員に同情を覚え、「最近の年寄りは身勝手だね」と言うと、小さいながらもしっかりした口調で私から目をそらさずに「はい」とだけ返事をしてくれた。

どこかがおかしくなっていると感じるこの国だが、同じ思いの人がどこかにいる。その人たちとつながることで、なんとかなるかもしれないと思えた日だった。

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