2011年5月16日月曜日

未来に続く伝統技術

東日本大震災では多数の文化財も被害を受けた。茨城大学五浦美術文化研究所六角堂は建物自体が津波で消失、都心でも江戸城跡の石垣が崩落するなど、広範囲にわたって被害が生じた。

文化財の修復に必要なのは優れた技術だけではない。古くから伝わる伝統技術を習得している人でなければ取り組めない作業だ。例えば多くの重要文化財は木造だが、近代建築が主流となった今、古くからの木工技術を習得している技術者は少なくなった。文化財保護のためにはそれを修復する技術も併せて保護・伝承する必要があるのだ。国は文化財の保存に欠くことができない伝統技術の保護にも予算を投入してきた。

税務関係の記事を書く中で各省庁の予算を目にする機会が多くなった。金額の大小に首を傾げることも多々あるが、数字の裏に隠れた事情を知ると、また違った感想を持つこともある。財政再建が叫ばれる中、現時点で必要なのかどうかで予算を判断しがちだが、「未来の日本をつくる」という意識は誰もが強く持ち続けるべきだろう。伝統技術は長い歴史の中で日本人が生み出してきた国の宝だ。その技術で守られてきた古の姿から現代の人間が学ぶことや感じることはいくつもある。過去、災害などの危機に見舞われながら幾度となく再建されてきた文化財の姿を思い浮かべ、前進し続ける思いを新たにする。

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