会社の近くの古本屋に、イラストレーター安西水丸の直筆色紙が売り物として飾られていた。村上春樹との共著などで彼の名前を知っていたし、色紙に描かれたちょんまげ・はかま姿の愛らしいキャラクターも悪くはなかった。ただ、最も惹きつけられた部分は別のところにあった。それは片隅に記された日付。見覚えのあるその数字は自分が生まれた年月日だった。魅力的に感じたものの、ちょっとしたランチ10日分ほどの値段を見て即決はできなかった。店に行くたびに眺めるだけの数日が過ぎた。
ある日、色紙が飾られていたはずの場所から、ちょんまげ・はかま姿のキャラクターが消える。その時にどれだけ欲しかったのかにようやく気付き、手に入れる機会を逃したことを悔やんだ。経営者は、会社の将来を決めるような場面でそのような無念さを味わうべきではない。政治家でも同じこと。目の前のチャンスを逃さないように、正しい決断力を身に付けたいものだ。なお、色紙は店内の別の場所に移動していただけだった。もちろん今では自宅の壁に飾られている。
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