茨城と栃木で竜巻が起きた5月6日、栃木県益子町では「益子春の陶器市」が開かれていた。筆者はその日、観光で益子町を訪ねた。ゴールデンウィークの最終日でもあった6日の朝はまさに行楽日和と言えるさわやかな天気だった。市で賑わう町の中心から離れると、広い田んぼで田植えをする農家の姿も見られた。
お昼を過ぎた頃からだった。辺りが一気に真っ暗になり、地面を叩きつけるような雨とひょうがものすごい勢いで降ってきた。途中晴れ間が見えて、雨宿りをさせてもらった店を出て、陶器市へ向かうと地面はドロドロ、売り物の陶器は雨に濡れ、「もう雨だから安くするよ」と諦めかけた陶芸家の声も聞こえた。
しばらくするとまた雨が降ってきて、町全体が暗くなった。空だけでなく、停電で街灯や店全体の明かりも消えたのだ。隣の真岡市に竜巻が襲って被害が出ているという話を聞きつけ、いよいよ帰りの電車も動かなくなるかもしれないと引き上げたが、電車から見た光景にも衝撃を受けた。栃木の名産いちごが植えてあったであろうビニールハウスは破れ、樹齢何十年かの樹木は折れて倒れていた。朝見かけた田植えをしていた農家の人たちが心配になった。
自然災害は一瞬にして人間の営みを奪う。いくら家族で避難計画を立てても、会社でBCPを作成してもいざというときは思い通りにいかないかもしれない。けれど、筆者が益子町で出会った人たちは騒ぎ立てず、冷静に対処し、そして観光客を心配して移動の手段などを探してくれた。その後のボランティアの活動なども素早かったという。助け合いが災害を乗り越える大きな力になることを実感した。
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