経営者には見えづらい部分だが、一口に「税理士」といっても、登録の経緯によって複数のタイプに分けられる。
税理士試験の合格者はもちろん税理士だし、税務官公署で一定の経験を積んだ“OB税理士”と呼ばれる人も結構多い。税理士制度の前身である「税務代理士」がそのまま税理士になったケースもある。そして、公認会計士や弁護士も、それぞれの資格を持っていれば税理士として登録することが認められている。
実はこの最後のルートが、税理士業界にとって長年の懸念となっているのだ。税理士としての能力が担保されていないのに、税理士になれるなんておかしい――。これが税理士サイドの主張。税理士業界では、税理士試験の一部を突破しなければ会計士や弁護士を税理士として認めないというルールを作ろうとしている。
特に、弁護士よりも会計士にターゲットを絞った改正だといわれる。もちろん会計士サイドは反論している。最近では、7月25日に日本公認会計士協会の山崎彰三会長が「会長所感」として、「租税法を含む公認会計士試験に合格した者が資格を取得するまでの間には(中略)税務に関する教育研修を履修し、試験されている」「公認会計士は資格取得後においても(中略)税務に係る知識の習得に日々努めてきている」などと、税理士業務を行う資質を会計士が持っていることを強調した。
この隣接士業者のせめぎ合いは長い歴史を持つ。税理士法3条では、税理士になれる人として、(1)試験合格者、(2)試験免除が全科目に及ぶ人、(3)弁護士、(4)会計士―が順番に並んでいる。これが昭和55年の改正までは、(3)(4)(1)(2)の順番だったそうだ。これも戦いの記録のひとつといえる。
来年中にも施行が決まる改正税理士法にこの制度の見直しが含まれるのか。長きにわたって続くこの論争、近いうちにひとつの決着が予定されている。
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