2011年4月4日月曜日

ペンギンの毛剃りは大丈夫?

 第52次南極観測隊は今年2月、ペンギンの背にビデオカメラを取り付け、海氷下の行動の記録に世界で初めて成功した。氷の海で餌を取る瞬間など、自然の雄大さを十分に感じさせる映像が収められ、南極生物の生態系解明にも期待が高まる。しかし同時に、カメラを背負ったペンギンの写真を見て「どうやって取り付けているのか」と疑問に思った人もいるだろう。国立極地研究所に問い合わせると、「以前は接着剤を使っていたが、今回は毛を剃った上で“特殊なテープ”で留めてある」とのこと。気になる生態への影響については、「環境省にも確認申請を出しているので問題ない」とし、剃った毛についても「定期的に生え替わるものなので負担はない」という。
 
 だがこの極地研の説明に異を唱える人もいる。筆者の知人で元観測隊員の一人は「マイナス50度という過酷な環境において、身を守るための毛を剃ったらどうなるか。調査の名を借りた虐待ですよ。生態の保護をうたった南極条約にも抵触するのではないか」と厳しい。本件についての“真偽”は分からないが、ニュースは表層だけでなく、その裏もしっかり見なければならないとあらためて感じた次第である。

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